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FMSで実際に評価する7動作について解説!
前回の記事で、FMSは7つの動作で選手の関節の安定性や可動性について評価できるツールとして簡単に解説しました。
FMSの7つの動作は以下でしたね、今回は実際の動作について解説します!
- ディープスクワット
- ハードルステップ
- インラインランジ
- ショルダーモビリティ
- アフティブストレート・レッグレイズ
- トランクスタビリティ・プッシュアップ
- ロータリースタビリティ
1.ディープスクワット

目的:股関節、膝関節、足関節における両側の対照的、機能的可動性や安定性をテスト
口頭支持(選手への指示)
- 両足を肩幅ぐらいに開いてまっすぐ立ち,つま先を前に向け てください
- 両手でバーを持って,頭の上に置いて,肩と肘が90°にな るようにしてください
- バーを頭の真上に持ち上げてください
- 背中をまっすぐに伸ばしたままで,踵とバーの位置を変えず に,できるだけ深くしゃがんでください
- しゃがんだまま1つ数えてから元の姿勢に戻ってください
採点基準
3点:正しく動作ができる
2点:5cmのボックスを踵の下に置いて正しくできる
1点:5cmのボックスを踵の下に置いて正しくできない
0点:痛みがある
このテストでわかること
- 深くしゃがめるくらい足関節や股関節の可動域があるか
- バーを真っ直ぐ上げていられる肩関節の可動域があるか
- 上手くしゃがめる股関節、膝関節、体幹の安定性や協調性があるか
2.ハードルステップ

目的:身体の運び方、またぎ動作のメカニクスを試し、片脚立位の安定性のコントロール能力をテスト
口頭支持(選手への指示)
- 両足をそろえてまっすぐ立ち,つま先をボックスにつけてください
- 首の後ろでバーを両手で持ち,肩に乗せてください
- 姿勢をまっすぐにしたまま,右脚を上げてハードルをまたぎます.この時に,つま先をすねのほうに持ち上げて、足首と膝と股関節がまっすぐに並んだ状態を保ってください
- 踵を床につけてから,足首と膝と股関節が真っ直ぐに並んだ状態を保ちながら,元の姿勢に戻って下さい ※左右行う(ハードルをまたぐ側の下肢にスコアをつける)
※バーは脛骨粗面の中央の高さにする
採点基準
3点:正しく動作ができる
2点:正しく動作ができない
1点:足部がハードルに接触するorバランスを崩す
0点:痛みがある
このテストでわかること
- 片足でバランスを保つ能力があるか
- またぎ足の下肢は協調的に動くか
3.インラインランジ

目的:股関節や膝関節、足関節、足部の可動性と安定性を同時に広背筋や大腿直筋のような多関節筋の柔軟性をテスト
口頭支持(選手への指示)
※最初に,床から脛骨粗面中央上部までの長さを測定する
- 背骨に沿ってバーを持ち,頭と背中とお尻の真ん中にバーを当 ててください
- 右手が首の後ろ,左手が腰の後ろに来るようにバーを持ってく ださい
- 右足をボックスにのせて,つま先を0の位置に合わせて下さい
- 左脚の踵を(脛骨の長さ)の位置に置いてください
- 左右の足の裏をボックスにつけて,つま先を前に向けてくださ い
- バーを頭と背中とお尻につけた状態で,まっすぐな姿勢を保ち ながら,右膝を左脚の踵の後ろに下ろして,ボックスrにつけ, ランジのポジションになってください
- 元の姿勢に戻って下さい ※左右行う(前方の下肢にスコアを付ける)
採点基準
3点:正しく動作ができる
2点:正しく動作ができない
1点:バランスを崩す
0点:痛みがある
このテストでわかること
- 足を一直線にしてもバランスが取れる能力があるか
- ランジをするだけの下肢の可動域があるか
- ランジ動作を行う際に、体幹を一直線にキープできるだけの体幹の安定性があるか
4.ショルダーモビリティ

目的:肩関節の可動域テスト
口頭支持(選手への指示)
- 両足をそろえてまっすぐ立ち,腕を楽にしてください
- 親指を中に入れて握り拳をつくってください
- 右(左)の拳を頭の後ろからできるだけ下へ下げるのと同時に,左(右)の拳は背中のほうからできるだけ上に挙げてく ださい
- 最初に動かした位置から両手を無理やり近づけようとしないでください ※左右行う(上方の肩にスコアをつける)
採点基準
3点:b < a
2点:b < a×1.5
1点:b ≧ a×1.5
0点:痛みがある
このテストでわかること
- 肩関節や胸郭の可動域があるか
5.アフティブストレート・レッグレイズ

目的:骨盤とコアの安定性を保持しながら下肢を分離して動かす能力をテストする
口頭支持(選手への指示)
- ボックスの上に膝の裏側をつけて仰向けになり,つま先を上に向けてください
- 両手を体の横に置いて,手のひらを上にむけてください
- 右足(左足)のつま先をすねのほうにひきつけてください
- 左膝(右膝)の裏側をボックスにつけたままで,右脚(左脚)を伸ばしてできるだけ高く持ち上げてください ※左右行う
採点基準
下図を参照

このテストでわかること
- 体幹の安定性
- ハムストリングスの柔軟性
6.トランクスタビリティ・プッシュアップ

目的:上半身を対照的に動かすCKCの動作中に矢状面上で脊柱を安定させる能力をテストする
口頭支持(選手への指示)
- うつ伏せになり,両手を肩幅に開いて頭の上に伸ばしてください
- 手の位置を下げて,親指を額のラインに合わせてください
- 両脚をそろえてつま先を立て,膝と肘を床から離してください
- 体幹を真っ直ぐにしたまま体を1つのかたまりとして押し上げて,腕立て伏せの姿勢になってください
採点基準
3点:額のラインで出来る
2点:顎のラインで出来る
1点:顎のラインで出来ない
0点:痛みがある
*下図のようにプッシュアップの開始肢位から上 体だけを持ち上げ脊椎を伸展した際に痛みがあれば0点

このテストでわかること
- 体幹の安定性
- 肩甲帯の安定性
7.ロータリースタビリティ

目的:上下肢の複合的な動作中における多平面での骨盤・コア・肩甲帯の安定性をテストする
口頭支持(選手への指示)
- ボックスをまたいで,手が肩の下,膝が股関節の下に来るように,四つ這いになってください.
- 左右の親指,膝,つま先をボックスの横に当てて,つま先をすねのほうに引きつけてください.
- 空を飛ぶような感じで,右手を前に,右脚を後ろに,同時に伸ばしてください
- 次に,下につかないようにしながら,右肘と右膝をボックスの上でくっつけてください
- また,手と脚を伸ばしてください ※左右行う(上肢を動かす側にスコアをつける)
採点基準
3点:同側上下肢で正しくできる
2点:対角線の上下肢で正しくできる
1点::対角線の上下肢で正しくできない
0点:痛みがある
*下図のように四つ這い位になり,臀部を後方に移動させて踵につけ,胸部も大腿につけるようにする.両腕はできるだけのばした際に痛みがあれば0点

このテストでわかること
- 上下肢、体幹、肩甲帯の安定性
7つの動作が評価できたら
動作を評価したら各選手ごとに記録をします。

7つの動作の点数や減点項目を見て、安定性の低下や可動域の不足といった弱点がどの関節にあるかを見ていきましょう。
きっと同じような項目で減点されている傾向が見えてきたりすることでしょう。
傾向が見えたらその部分について可動域向上のためのエクササイズやトレーニングをしていけば良いですね!
記事中のエクササイズ画像は、Gray Cook(著):ムーブメントーファンクショナルムーブメントシステム:動作のスクリーニング アセスメント 修正ストラテジー, ナップ社,2014 より転載