運動機能の評価について
今回は運動機能を評価する方法を紹介していきたいと思います!
選手の運動機能の良し悪しをどうやって判断していますか?
学生は必ず年に1回は体力テストをやるので、立ち幅跳びやハンドボール投げなどの種目の成績なんかはわかりやすいですね。
他にも、バーベルなどの重りを何kg持ち上げられるか、ボールを遠くまで蹴れるまたは打てるといったところで判断するでしょうか。
さまざまなパフォーマンスを図るテストがありますが、今回は米国発祥の運動機能評価である、FMSについて解説をしたいと思います。
FMSって何?
FMSという言葉を初めて聞いた方も多いと思います。
私がFMSを知ったきっかけは、プロ野球の自主トレキャンプのサポートに入ったときに、ドジャースのストレングストレーナーがFMSを使って選手たちの身体機能を評価をしていたのをみたことです。
NBAのチームなんかでも取り入れられていますし、日本のプロチームでもFMSを使って選手の管理をされているところも多いと聞きます。
FMSは、Functional Movement Screenの略語であり、要は動作をみて身体の機能を簡易的に評価しましょうというツールです。

FMSでは、次の7つの動作を評価します。
- オーバーヘッドスクワット
- ハードルステップ
- インラインランジ
- ショルダーモビリティ
- アフティブストレート・レッグレイズ
- トランクスタビリティ・プッシュアップ
- ロータリースタビリティ
各動作を0〜3点までの4段階で評価します。点数は、次の基準です。
0点:テスト中の疼痛により動作実施困難
1点:動作パターンが不十分で実施困難
2点:誤ったフォームや動作中の代償動作を伴うアライメント不良がある
3点:正しい動作パターンを行うことができる
合計スコアは21点満点です。
15点以下だと怪我のリスクが高いという報告もありますが、競技や年齢によって違ったり報告はまちまちです。
ですので、合計が何点だからダメ、とかはではなく、スコアが低かった苦手な動作が身体の中のどの部分の機能低下を示しているものなのかを気にすれば良いと私は思っています。
FMSを使うメリットは?!
FMSを使うメリットはズバリ、
- 時短
- 選手にとってわかりやすい
- 管理がしやすい
この3点が大きいと思います。
メリットその1;時短について
ひとつひとつの関節の柔軟性や筋力を見ていくと時間がかかるので、簡易的に選手を評価できるとかなり時間短縮になります。
また、選手一人ずつではなく、ある程度まとめ多人数を評価することもできるので、さらに時短になります。
評価の時間を短くできれば、その後に問題点を修正するためのトレーニングの時間を多く取ることができます。
メリットその2;選手にとってわかりやすい
選手にとってわかりやすいことに関しては、わかりやすい動作を行わせて、できるかできないかを判断するので、
動作ができない=身体機能に問題がある
ということを選手自身が認識しやすいです。
これを単に足首の可動域だけをみて、「足首が硬いよ〜治した方がいいよ〜」と言っても、
「もともと足首が硬いんです」とか「足首硬いと問題あるんですか?」とか言われたりして、あまり問題に思わず、結局ストレッチをしてくれない…。
ってことになっちゃったりします。
できないことを認識させるということが、選手自身が主体的にトレーニングを行うための大きな一歩目になると思います。
メリットその3;管理がしやすい
各項目0〜3点、合計21点で評価し、それぞれの項目で何ができていなかったのかを記録しておけば、次に数ヶ月後に再度評価した時にどこが改善したのか、どこがまだ改善できていないのかを明確にすることができます。
また、複数人の運動指導者でデータを共有しておけば、それぞれの選手の身体的特徴を共通言語として認識しておくことができます。
FMSで選手を評価することでのメリットはたくさんありますし、それほど評価することは難しくありませんので、部分的にでも取り入れていただけますと幸いです。
次回はそれぞれの動作について具体的に解説していきたいと思います。
FMSは定期的に講習会も実施されているようですので、ご興味ある方はFMS Japanで検索していただくと良いと思います。
全ては選手のために。今日も知識と見る目を養っていきましょう!
【参考文献】
1)Gray Cook(著):ムーブメントーファンクショナルムーブメントシステム:動作のスクリーニング アセスメント 修正ストラテジー, ナップ社,2014