アスリートの立ち姿勢
立ち姿勢の良し悪しはスポーツに関係があるでしょうか?
トップアスリートの姿勢を思い返してみてください。どうでしょうか?姿勢の悪い人はあまり思い浮かばず、姿勢が良い人が思い浮かぶと思います。
やはりスポーツのパフォーマンスを上げていくには、いい姿勢でいることが重要と言えそうです。
なぜいい姿勢が必要?
いい姿勢でいることはさまざまな影響を体に及ぼします。
ざっくりいうと、下の3つが大きいと思います。
- いい姿勢でいることが可動域を最大限使うために必要
- いい姿勢でいることが力を発揮するための大きな一要素である
- 悪い姿勢で止まっている人は、動いた時に効率の良い動きができない
それぞれについて解説します
可動域を生み出す
肩関節の動きや肩甲骨の動きは、胸椎のポジションに影響を受けます。
わかりやすいところで言えば、良い姿勢では腕は180°上まで上がりますが、猫背になると可動域が制限されてしまい、腕を最大まで上げることができません。


また、首の動きにも制限がかかり、周りを見ることができなくなります。
姿勢を良くした状態と悪くした状態で、腕の上がり具合や首の動きを確認してみていただくと、違いがよくわかるかと思います。
このように、姿勢が悪い状態では使えるはずの可動域が使えなくなりますので、プレーに支障をきたす可能性や、関節に無理が出るポジションで動くことで関節や筋肉に負担をかける可能性が高くなります。
姿勢を正すことによって、本来使えるはずの可動域を失うことによるパフォーマンスの低下を抑えることができます。
力を発揮できる
これに関しては、パワーポジションに非常に密接な関係があります。
パワーポジションのポイントとして、脊柱がニュートラルであることと、股関節がしっかりと引き込めていることを挙げました。
姿勢が悪く、背中が曲がってしまうと、股関節が引き込めない姿勢になってしまいますので、お尻の筋肉で大きな力を出すことができません。また、地面からの力を自分の重心位置にうまく合わせることができず、力が逃げてしまいます。

これは股関節の一例ですが、上肢や全身的にも力の発揮に差が出ます。
良い動きができない
猫背で立っているような姿勢が悪い人が、歩いたり動いた時に背筋が急に伸びたりすることは考えづらいように、姿勢が悪い人は基本的には効率の良い動き方というのはできないと考えられます。
姿勢が悪いだけで、身体の動きが遅くなったり、力強い動きができず、パフォーマンスが下がるため、この状態でトップアスリートを目指すのはかなり難しいです。
パフォーマンスピラミッドでいう、下の二つ(機能的動作、機能的パフォーマンス)が小さい状態で、一番上の機能的スキルを積み上げようとしている状態です。

やはりトップを目指していくのであれば、身体の使い方は最大化、最適化しておいて、スポーツ特有のスキルを伸ばしていくというのが最も効率の良いトレーニングになっていきます。
良い姿勢の基準について
それでは、じゃあ良い姿勢ってなんだ、どうすれば良い姿勢を作れるのかという疑問が湧いてくるかと思いますので、次は良い姿勢の定義について解説したいと思います。
まずは、少し解剖学の視点から説明したいと思います。
人の脊柱は、S字構造をしています。頚椎が前に湾曲し、胸椎(背中)が後ろに湾曲、腰椎が再び前に湾曲をしているのが正常であり、このS字構造があることで、重力に対してバネのように衝撃を緩和することができます。
この構造が破綻している人がいわゆる、ストレートネックとか猫背、反り腰などと呼ばれ、姿勢が悪いとされています。

自分の姿勢が良いのか悪いのかは次のようにチェックしてください。
まずは長い棒を用意します。突っ張り棒やラケットやバッド、釣竿など座高ぐらいの長さがあってまっすぐであればなんでも良いです。
なければ壁を使ってで代用します。
棒(壁)を背中に押し当て、棒(壁)が次の3点にしっかりと当たるかどうかをチェックします。
- 後頭部
- 背中
- お尻
もしこの3点が全てつかず、2点のみだとすれば、S字構造がうまくとれておらずどこか姿勢が悪い状態です。


図の左のように頭がつかない場合は、次のいずれかの要因または全てがあてはまります。
- 首が前に出ている
- 胸椎が後弯しすぎている
- 腰椎が後弯しすぎている
図の右のように背中がつかない場合は、次のいずれかの要因または全てがあてはまります
- 頚椎が伸展している
- 胸椎が前弯しすぎている
- 腰椎が前弯しすぎている
代表的なパターンとして2パターン、それぞれ細かく要因を分けるともっとパターンとしては多くなりますが、大体の傾向は掴めるかと思います。
ぜひ試してみて、自分の姿勢が良いのか悪いのか確かめてみてください。
まとめ
スポーツのパフォーマンスを上げていくには、いい姿勢でいることが重要です。
大きな理由としては以下です
- いい姿勢でいることが可動域を最大限使うために必要
- いい姿勢でいることが力を発揮するための大きな一要素である
- 悪い姿勢で止まっている人は、動いた時に効率の良い動きができない
姿勢のチェックとしては長い棒や壁を利用して体の3点がつくかどうかでチェックし、2点しかつかない場合は改善の余地ありと判断します。
それぞれの姿勢の治し方はこちらをチェック!