バッティングで球を遠くに飛ばせるようになりたい、シュートを強くうてるようになりたい。速いサーブやスマッシュを打てるようになりたい。
速く走れたり、高く跳べたり、瞬発力のある選手を見て、「あいつは才能があるから…」と諦めていませんか?「もう少し、僕にも、あの選手にもパワーがあれば…!」そんなことを考えたことが一度はありませんか?
もちろんパワーがある選手は才能もありますが、後からトレーニングでパワーを上げることはできます!
諦めないでください!
それじゃあ、筋トレや走り込みをしたらパワーはつくでしょうか?パワーってどうやったら上がるんでしょうか?そもそもパワーってなんでしょうか?
考え方を理解しなければ正しいトレーニングはできませんので、しっかりと理解できるようにわかりやすく説明したいと思います!
目次
パワーって何?
パワーとは、まず、力×スピードで表されます。
「は?掛け算出てきて力とかスピードとか意味わかんない!」って思った方、大丈夫です。これからわかりやすく説明します。
バッティングで大まかにイメージしてみましょう。

ティーバッティングで、おもいっきりバッドを振って止まっているボールを打つとします。このとき、軽い・重い・その中間の重さの3種類のバッドがあります。どのバットをどのくらいのスイングの速さで振ればボールが遠くまで飛ぶかを想像してみて下さい。
より遠くにボールを飛ばすのに必要なのは、重さと速さの組み合わせはどれがベストでしょうか?
軽いバッドを速く振っても遠くには飛ばないし、重いバッドをゆっくり振ってもボールは遠くに飛びませんよね。
重いバッドを速く振れれば、一番遠くにボールを飛ばせるというのはイメージが湧くと思います。

これが力×スピードのイメージです。
それでは、バッドが重ければ重いほどボールを遠くに飛ばせるかと言われると、そうではないのもイメージがつくのではないでしょうか?
重ければ重いほど、選手の筋力では扱いきれずスイングが遅くなってしまいますので、力×スピードのうち力が2倍に上がっても、スピードが1/3に下がってしまっては合計が2/3へ下がってしまいます。
つまり、一番合計が上がるのは、扱える重さのバットをできるだけ速く振ることです。
じゃあパワーを上げるにはどうしたらいいかというと、
- バッドの重さが重くなっても扱えるようにする=筋力アップしてなるべく重いものが持ち上げられるようにする
- スイングスピードを上げる=ある程度の重い物を一瞬の速さで動かすトレーニングをする
この二つが必要になります。
実際はもう一つ重要な要素がありますが。今はこの二つだけ覚えていただければOKです。
冒頭でお話しした、筋トレや走り込みをしたらパワーはつくでしょうか?という問いに対する答えは、筋トレは必要だが速く動かすトレーニングがさらに必要、走り込みではパワーはつかない、というのが答えになります。
パワーを鍛えるまでのステップ
パワー系トレーニングの前にやらなければならないこと
パワーがどうやったらつくのかがここまでで理解できたと思います。
しかし、いきなりパワー系のトレーニングを行うと、かなり高い確率で怪我をします!パワー系のトレーニングを行うにはトレーニングの熟練が必要です。
パワー系のトレーニングが安全に行えるまでのステップをまずはお伝えしたいと思います!
- 体幹トレーニング
- 運動コントロールのトレーニング
- 筋力トレーニング
- パワー系トレーニング
いきなり重いものを速く動かすようなパワー系のトレーニングを行おうとすると、体幹や基礎的な体の動かし方がわからずバランスを崩したり、無理に一部の筋肉を使ってしまうことで筋肉を損傷してしまうことがあります。
そのため、まずは体幹トレーニングで体を安定させるだけの筋力をつけること、その次に2番目として体を効率よく動かし、体に負担のかからない動きを身につけること、3番目に重いものを扱えるキャパを増やし、スピードをつけられるだけの筋力をつけることが重要です。その3ステップが踏めてようやくパワー系のトレーニングが有効にできるようになります。
体幹トレーニング
90°-90°ヒップリフト

仰向けになり、足を90°に曲げ椅子などの台に載せます。この姿勢でまずは深呼吸をしてみましょう。
自分がどうやって呼吸をしているかを感じてください。深呼吸がしっかりとでき、腹部に力が入るようにしていきます。
それでは、踵を台に軽く押し付け尾てい骨が2〜3cmくらい、ほんの少し上げます。
ももうらや腹筋に力が入る感じはありますか?
腹筋に力が入る感じが薄ければ、少しおへそを見るように頭を上げます。
なるべく呼吸を深く続け、5回やったら力を抜きましょう。これを3セット行います。大事なのはしっかりと息を吐いてお腹に力が入ることを感じることですので、腹筋に力が入る感じがあればOK、その状態で呼吸が続けられれば尚良いです。
腹筋にしっかりと力が入る感覚を掴み、他のトレーニング時にも腹筋を使いながら出来るようにしましょう。
運動コントロールのトレーニング
今度は体のコントロールの向上を目的としたトレーニングに移ります。
ゆっくりとしたスピードでバランスを取りながら、体をコントロールする練習です。ここではシングルレッグスクワット(片足でのスクワット)をやってみましょう。
シングルレッグスクワット

このトレーニングは以前の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてやってみてください。
正しい姿勢で10回できることを目標にしましょう!
筋力トレーニング
パワーを上げるためには重いものを扱えるキャパを増やし、スピードをつけられるだけの筋力をつけることが重要です。
下半身の筋力を効率よくつけられるメニューはバックスクワットとデッドリフトかと思います。
これはまた後日詳しくやっていきます。
はじめのうちは片足スクワットでもかなりきついと思うので、まずは片足スクワットが10回楽にできるように頑張ってください!
パワー系トレーニング
パワー系トレーニングの特徴は、
- ごく短時間で力を発揮する
- 動き始めを力強くする
この二つです!
私がやっているトレーニングを二つ紹介します!
パワースクワット
スクワットの姿勢からなるべく早く立ち上がり、同時に重りを頭上に持ち上げます。
この時、地面を踏みつけることで足を一瞬で伸ばし、足で生み出した勢いで重りが持ち上がるようなイメージです。
パワースプリットスクワット
パワースクワットをより片足に負荷をかけた状態で行います。
足をアキレス腱伸ばしをするように前後に開き、前足に体重をかけます。後ろ足はつま先でバランスを取るために地面に触れているイメージです。
重りは前足と反対の手に持ちます。(左足が前足なら右手に重り)
やることはパワースクワットと同様です。
地面を踏みつけることで足を一瞬で伸ばし、足で生み出した勢いで重りが持ち上がるようなイメージを持ちます。
手で重りを持ち上げるのではなく、あくまでも体が伸び切った時の勢いで重りが浮くようなイメージです。
まとめ
このように、ある程度の重さ(自分の体重や重り)を負荷にして、爆発的に筋力を発揮するのがパワートレーニングです!
爆発的に筋力を使えるようにトレーニングすることで、ダッシュの一歩目が力強く地面を蹴れることで速く走れるようになったり、バットスイングが鋭くなったりと、大きな力が効率よく出せるようになってきます!
前回から理論的に説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか?
今後さらにトレーニングメニューを紹介していきたいと思います!
参考文献
1)G. Gregory Haffら;パワーのためのトレーニング原理 Training Principles for Power,NSCA JAPAN Volume 20, Number 4, pages 16-26